| 事務所名 | ちとせビジネスドクター 一般社団法人ちとせビジネスドクター(旧ちとせ会計塾) |
|---|---|
| 代表理事 | 鈴木 丈彦 |
| 所在地 | 〒270- 1176 千葉県我孫子市柴崎台1-7-5 JR天王台駅徒歩2分 |
| 電話番号 | 04-7183-3980 |
| FAX番号 | 04-7186-6022 |
| 業務内容 | ・業績アップのしくみづくり支援 ・経営数字の勉強会開催 ・論語と算盤の勉強会開催 ・戦略的経営計画書の作成支援 (戦略SWOTとビジネスモデル再構築) ・経営計画発表会の開催支援 ・MA・事業承継支援 ・バックオフィス自動化業務改善指導 ・その他関連業務 |
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役員報酬はいくらが正解か
会社に残すか、自分に移すか ── 税と社会保険料で決める配分の基準
決算の3か月前になると、必ず出る問いがあります。役員報酬は、いくらにしておくのが得なのでしょうか。
同じ利益でも、役員報酬をどう設定するかで手元に残る金額は年間で数十万円、場合によっては百万円単位で変わります。ところが、この問いに一言で答えられる人はいません。会社と個人のどちらに残すかで動く負担が3種類あり、しかもそれらが逆の方向に動くからです。
役員報酬を1万円増やすと、次の3つが同時に動きます。
まず、会社の税負担が減ります。役員報酬は損金になるため、法人税、法人事業税、法人住民税が軽くなります。
同時に、会社の社会保険料負担が増えます。役員報酬に対して、会社が半分を負担する社会保険料が発生するからです。
そして、個人の負担も増えます。所得税と住民税、それに個人が半分を負担する社会保険料がかかります。
減る力と増える力が同時に働くため、報酬は高いほうが得とも、低いほうが得とも言えません。どこかに折り返し点があり、その位置は会社の利益額、代表者の年齢、扶養の状況によって一社ごとに違います。だから、一般論ではなく自社の数字で確かめるしかないのです。
下の計算機に、決算書の税引前当期純利益と、現在の役員報酬を入力してください。決算書の利益は役員報酬も会社負担の社会保険料もすでに引いたあとの金額ですので、その2つを自動で足し戻して「まだ誰にも配っていない利益」に直します。そのうえで役員報酬を月額0円から順に動かしながら、会社に残る税引後利益とご自身の手取りの合計が最大になる点を探します。
法人税、地方法人税、法人事業税、特別法人事業税、法人住民税、会社と個人が負担する社会保険料、所得税、個人住民税。負担のすべてを織り込んであります。入力された数値がどこかに送信されることはありません。すべてお使いのブラウザの中だけで計算しています。
三つ、申し上げておきたいことがあります。
ひとつ。最適点は、尖った頂ではありません。カーブを見ていただくと分かりますが、最適点の周辺はなだらかです。月額で上下に10万円ずれても、手残りの差は年間で数万円にとどまることが少なくありません。1万円単位で最適点に合わせにいく意味は、実はあまりないのです。この幅の中ならどこでも大きくは損をしない、という帯を読み取っていただくのが正しい使い方です。
ふたつ。社会保険料は掛け捨てではありません。計算上は負担として引かれますが、厚生年金の保険料は将来受け取る年金額に反映されますし、健康保険料は傷病手当金などの保障につながります。手残りの額だけを見ると役員報酬は低いほど得に見えますが、それは保障を買っていないだけです。最適点よりやや高めを選ぶ判断も、十分に合理的です。
みっつ。会社に残した利益は、いつか出口で課税されます。この計算はあくまで単年度のものです。会社に留保した利益をいずれ個人に移すとき、退職金として受け取るのか、配当なのか、それとも会社で使い切るのかによって、そのときの負担が変わります。計算機の詳細設定にある目減り率に想定を入れていただくと、出口まで含めた最適点に切り替わります。
計算していただくと、多くの会社で、役員報酬はそれほど高くしないほうが世帯全体の手残りは大きい、という結果が出たはずです。
これは偶然ではありません。現行の税制の構造からくるものです。
中小法人の法人税率は、所得800万円までが15パーセント、それを超える部分が23.2パーセントです。地方税を含めた実効的な負担でみても、おおむね25パーセントから34パーセントの範囲に収まります。これに対して個人の側は、所得税と住民税を合わせた最高税率が55パーセントに達し、そのうえに労使合わせておよそ30パーセントの社会保険料が乗ります。
利益が大きくなるほど、法人に置いたほうが負担は軽い。現行税制はそういう形をしています。
ただし、ここで話を終えると危険です。会社に残すという判断には、必ず続きがあるからです。
会社に残した利益は、そのままにしておけば現預金として積み上がっていきます。ここで多くの経営者が立ち止まります。
私たちがお勧めしているのは、人と仕組みに変えることです。
社員教育や幹部育成にかける費用、業務のデジタル化にかける費用。クラウドサービスの利用料や、既存業務の見直しにかかる外部委託費など、その期の損金になるものが数多くあります。課税を先送りしながら、同時に会社の稼ぐ力そのものを厚くできる。しかも設備投資と違って、効果が出るまでの時間が短い。
ただし正確に申し上げておくと、自社で開発するソフトウェアは資産に計上して数年かけて償却しますので、すべてがその期の損金になるわけではありません。何がその期の費用になり、何が資産になるのかは、実行の前に確認しておく価値があります。
そしてもうひとつ、誤解してはいけない一線があります。損金になる支出は、税金を消すのではなく先送りするだけだということです。100万円使って30万円の税負担が減っても、70万円は確実に出ていきます。税金が減るからという理由だけで支出を決めれば、会社は確実に痩せていきます。
判断の順序は逆でなければなりません。まず、この会社に必要な投資かどうかを決める。必要だと決まったものについて、どの期に、どういう形で実行すれば税務上も有利かを考える。この順序を守るかぎり、人財の育成とデジタル化への投資は、内部留保の使い道として最も筋のよい選択肢です。
年によっては、教育訓練費や設備投資に対する税額控除を使える場合もあります。使える制度は改正のたびに変わりますので、実行前にご確認ください。
それでも、利益は残ります。残った利益は内部留保となって、会社の純資産を厚くしていきます。
ここに、気づかないまま何年も進んでしまう問題があります。内部留保が積み上がるほど、自社株の評価額が上がるということです。
非上場株式の評価は、会社の純資産や利益をもとに計算されます。堅実に利益を出し、堅実に会社へ残してきた会社ほど、株価は高くなる。経営者として正しいことをしてきた結果として、承継のときの負担が重くなるのです。
しかも自社株は、上場株式と違って売って現金に換えることができません。納税資金だけが必要になり、その裏づけがない。これが中小企業の事業承継で最も多い行き詰まり方です。
打ち手はあります。株価の算定方法を踏まえて評価を引き下げること、後継者へ計画的に移していくこと、持株会社をつくって株価の上昇を遮断すること。
ただし、どれも実行に数年かかります。順序を誤れば効果が出ないどころか、かえって重い負担を招くこともあります。持株会社化はとくに、借入の負担や組織再編にともなう税務上の論点を伴いますので、株価が高いから持株会社にする、という短絡は禁物です。
大切なのは時期です。株価が上がりきってから相談に来られる方が、あまりに多い。対策の選択肢は、株価が低いうちほど広く、時間に余裕があるほど安全です。役員報酬をいくらにするかを考えている今が、実はその入り口にあたります。
実務上の制約を最後にひとつ。役員報酬は、事業年度が始まってから3か月以内に決め、その事業年度を通じて毎月同額を支給する必要があります。定期同額給与といいます。期の途中で増額した分は、原則として損金になりません。
つまり、決算が終わってから考えるのでは遅いのです。決算の3か月前、着地の見込みが立った時点で翌期の配分を決めておく。これが最も効果の大きいタイミングです。
この計算機の結果は、前提を単純化した目安です。実際には、役員社宅、出張日当、小規模企業共済、退職金の積立といった手立てを組み合わせることで、同じ利益でも手残りはさらに変わります。
そして、役員報酬をいくらにするかという問いは、本当は節税の問題ではありません。生み出した利益を、会社と個人と、未来への投資にどう配分するかという問題です。
私たちは、目先の税額だけを見て役員報酬を決めることをお勧めしていません。経営計画のなかで、この会社は誰のために何を目指すのかを先に決める。そこから逆算して配分を決める。その順序でなければ、数字は動いても経営は変わらないからです。
決算3か月前のご相談を承っています。初回のご相談は無料です。
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